最低王子と恋の渦







――「はぁー!動いた動いた!」




先程のテンションとは真反対な私は大きく伸びをしながら教室に向かって歩く。


ほんとに死ぬ程サッカーで動き回っていると、汗まで掻くくらいあったまった。




「あんなスポーツに真剣な美乃初めて」


「私のチーム全部勝ったしね! こりゃ成績上がったわ」


「良かったねー」




菜々は心のこもってない笑い方をしながら私の背中を叩く。



こんな寒い中半袖半ズボンでサッカーに夢中になるなんてほんとどこのわんぱく少年だか。



と、私はふと花壇の方へ目を向けた。




「…?」




首を傾げながら私はその花壇へと近付く。



なんか、変な音がする。




と、次の瞬間。



私の視界は冷たい水によって覆われた。










< 29 / 347 >

この作品をシェア

pagetop