最低王子と恋の渦
まっ、
待って。
「……」
軽いリップ音と共に三鷹くんは唇を離し、至近距離で私の顔を見つめた。
私はというとまたまた驚くばかりで。
「……き、キス…?今の…」
なんて馬鹿丸出しな言葉しか言えなかった。
でも三鷹くんはそれを嬉しそうな笑顔で受け止めてくれる。
「うん。ごめん勝手にしちゃって」
ごめんだなんて!!
と、ブンブン首を横に振ってみせると、三鷹くんはまたあの無邪気な笑顔を見せた。
…知り合った頃は特に興味すら示してなくて
話し出したかと思えば三鷹くんにずっと貶されるような奇妙な関係で
でも、三鷹くんが本当はすごく優しい人だって知って
いつの間にか三鷹くんのことを好きになってて
付き合うように…なって
キスまでされちゃって……
そういえば私のおみくじ、確か大凶だったような。
……神様、ありがとうございます。
おかげで幸せを掴むことが出来たみたいです。
「田中さん」
「は、はい」
「大事にするから」
そう言った三鷹くんは真剣でありつつ優しく微笑んでくれて、
私は目に涙を溜めながら頷いた。
嬉しさが込み上がるとこんなにも泣けるのか。
と、自分の中の冷静な部分がそう言う。
三鷹くんと一緒ならきっと安心だ。
そう心から感じる。