最低王子と恋の渦





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「…ほんとに大丈夫なの?」


「はい。もうあと帰るだけですし」




私はビショビショに濡れた髪の毛をタオルで拭く。



…私はあの時、頭から水を被ってしまったのだ。


というのは、あの花壇の所にあった水道管が破裂した為である。



運悪くその破裂の瞬間に出くわしてしまった私はこんな寒い中に半袖半ズボンで頭から水を被る羽目になってしまった。



…今日はついてなさすぎる。




「じゃあ制服持って来るから、体拭いて待っててね」




保健室の先生はそう言いながら保健室を後にした。


びしょ濡れになった私は保健室へとお邪魔して体を乾かさせてもらっている。

もう後に授業はないのがせめてもの救いだった。


私は体と髪を乾かすだけ乾かせて、もうそのまま帰ることにした。


先生は風邪を引くかもしれない、と私を家まで送ってくれると言ってくれたけど、私はそれは遠慮した。




「…ふぅ」




大きく息を吐きながら、私は拭き終わったタオルを膝に乗せた。


用意してくれたタオルケットを羽織って、私は頭を振る。




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