最低王子と恋の渦




「…あれ?」






不意にきょとんとした表情で私と三鷹くんを交互に見始めた和久井くん。


私はそれに首を傾げる。







「…どうしたの?」



「いや、席がさ。いつもってか、このメンツなら田中さんと澤村さんが隣で向かい側に三鷹が座るはずなんじゃないかなって」



「……え」







急にどうした和久井。


え、和久井くんってそういうとこ鋭いの?

恋愛絡むととことん敏感だな。







「いや…まああの…なんというか…」



「?」



「…えっと、昨日から三鷹くんと付き合い出しました…」



「え!?」







目を見開いて慌てて三鷹くんと私をまた交互に見る和久井くん。


そしてパァっとみるみる目を光らせた。







「まじで!?!?」



「いやもう声でかいってほんと」



「えっと、おめでとうっ」






真っ直ぐな瞳を向けられ、私は少し恥ずかしくなる。


でも、まあやっぱり嬉しい。







「ありがとう」



「そういうわけだから、あんまり田中さんを振り回さないでね」







と、


三鷹くんはニッコリと和久井くんに笑顔を見せる。



その笑顔から何やら威圧感を感じるのは気のせいだろうか。







「……」







……ん?


なかなか和久井くんの返事が返ってこない。



不思議に思って彼を見上げると、







「……え、和久井くん?」







和久井くんはボーッと私を無言で見つめていた。


な、何??





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