最低王子と恋の渦
階段を上り、教室を急ぐ。
そして自分の教室である3組のドアに手を掛け、そのまま開いた。
「…………は?」
もし、
もし田中さんが俺に飽きてしまったら、
「……み、三鷹」
「何してんの」
本当に川平のもとへ行ってしまうのだろうか。
「え、えっと…ごめん三鷹!でもしてないから!しようとはしたけど、してはないから!」
川平はパッと田中さんから離れて慌てている。
田中さんもひどい顔を俺に向けながら、机から体を起こした。
…俺が教室に入ると、川平は机で寝ていたであろう田中さんにキスをしようとしていて。
それが未遂で。
……もし俺が少しでも遅く戻っていたらと考えると虫唾が走る。