最低王子と恋の渦
「田中さん」
静かにそう呼ばれ、私はビクッと体を跳ねさせた。
チラリと三鷹くんの顔を見ると、彼はなぜか涼しげな顔をしているではないか。
「寝てたの?」
「は……はい」
「ふーん」
……うぅ。
めちゃくちゃ怖い。
「…お、怒ってる?」
「別に怒ってないよ。ただなんでそんなに無防備なのか疑問に思うんだ。田中さんのこと好きだって言ってる男の前でなんで普通に寝れるの?ちょっとくらい警戒しなよ。いくら幼馴染みだからってあまりにも無防備過ぎだと思うけど。別に怒ってないから」
めっちゃ怒ってますやん…。
流れるような三鷹くんの言葉に、私は俯くことしか出来なかった。
正に三鷹くんの言う通りである。