最低王子と恋の渦
不安の停滞
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「信っじられない!ほんとに付き合うなんて!!」
人通りの少ない廊下で、真っ直ぐな怒りをこちらに向けて怒鳴っているのは西垣さん。
私は壁に追いやられて視線を泳がす。
「しかも噂を否定したその日に!あんた何考えてんの!?」
天使ってなんだっけと思わせるようなその腹黒モードの西垣さんは、皆に夢と希望を持たせるために本性はバラさない方が懸命な気がする。
「…ま、付き合ったところで諦めるつもりはないんだけど」
腕を組んでフンと鼻を鳴らす西垣さん。
そういやそんなこと前にも言ってたな…。
こ、困る…。
「に、西垣さんあの…」
「何よ」
「出来れば諦めていただけると助かるんですが…」
「はあ!?ふざけないでよ!誰があんたの言うことなんて聞くのよ!」
で、ですよねー…。
私はハァと肩を落とし、「仕方ないか」と呟く。