最低王子と恋の渦




「…もしかして優太、今気付いたのか?」



「…うん」



「お前…鈍感にもほどがあるだろ…」



「好きって…よく分からないし」



「で、これからどうすんの?」



「…これから…」






再び優太は俯く。








〝珠妃ちゃんが別の誰かのものになっちゃう前に。優太が頑張らないと〟







そんな美乃の言葉を思い出し、優太は珠妃の方を見つめた。




…珠妃ちゃんが別の人に取られる前に、俺が…。

姉ちゃん曰く、かっこいいところを見せたり珠妃ちゃんを助けてみれば良いらしい。


…かっこいいところ…。






「ねぇ佐藤…、俺のかっこいいところって、何?」



「はぁ?優太のかっこいいところ?

……うーん、サッカーしてる時とか?」



「……サッカー…」





そして何かを閃いた優太は、突然ガタッと席を立ち上がって珠妃のいる方へ迷いなく歩き出した。




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