最低王子と恋の渦
「ど、どういう風の吹き回し!?」
「は? 何が」
「三鷹くんだよ! 何その親切…!」
三鷹くんが私にこんなに優しいなんて…。
夢でも見ているんだろうか。
「…なんなの、ひどい言われようだよね」
「三鷹くんだって私のこと散々貶すじゃん!」
「それとこれとは別…って言ったら?」
「認められませんね!!」
涼しげに笑う彼は、いつもの彼のように見える。
…ただの、気まぐれなのかな。
と、私はブンブンと頭を振った。
せっかくの三鷹くんの親切をありがたく受けないでどうする!
珍しく貴重な事この上ないのに!
でもわざわざ送ってもらうようなことでもないし…。
「…あ、ありがとう。
でも、大丈夫。一人で帰……っくしょん!」
「……はいはい、風邪引かない内に帰るよ」
ムズムズしてきた鼻をすすりながら、私は頷くしかなかった。
……タイミング悪い。
まあいっか…、
今日の三鷹くんなんだか優しいし。