最低王子と恋の渦





「ど、どういう風の吹き回し!?」


「は? 何が」


「三鷹くんだよ! 何その親切…!」




三鷹くんが私にこんなに優しいなんて…。


夢でも見ているんだろうか。




「…なんなの、ひどい言われようだよね」


「三鷹くんだって私のこと散々貶すじゃん!」


「それとこれとは別…って言ったら?」


「認められませんね!!」




涼しげに笑う彼は、いつもの彼のように見える。


…ただの、気まぐれなのかな。

と、私はブンブンと頭を振った。



せっかくの三鷹くんの親切をありがたく受けないでどうする!


珍しく貴重な事この上ないのに!



でもわざわざ送ってもらうようなことでもないし…。




「…あ、ありがとう。
でも、大丈夫。一人で帰……っくしょん!」


「……はいはい、風邪引かない内に帰るよ」




ムズムズしてきた鼻をすすりながら、私は頷くしかなかった。



……タイミング悪い。



まあいっか…、

今日の三鷹くんなんだか優しいし。







< 33 / 347 >

この作品をシェア

pagetop