最低王子と恋の渦
* * *
「…あ、美乃からだ」
学校にて。
菜々はそう言いながら美乃の席に座ったまま携帯を開いた。
その様子を隣に座る三鷹が肘を付いて見ている。
「え。美乃今日休み!?」
「…え、田中さん休みなの?」
「そうみたい。なんか風邪って…」
「……ほんと馬鹿じゃん」
三鷹は盛大に溜息をつく。
菜々はそれ見て、原因が昨日の事故だと勘づいた。
「美乃は何かと体弱いしねー」
「へぇ。よく風邪引くの?」
「うーん結構引くかも。あと貧血とか腹痛とか」
「鉄分足りてないんじゃないのあの馬鹿」
「栄養不足かねー」
そう言いながら欠伸をする菜々。
こいつそんなに心配してないな、と三鷹はまた肘を付いた。
「お見舞い行ってやるかー」
「いってらっしゃい」
「あ、今日バイトだ」
と、菜々はくるりと三鷹を見つめた。
三鷹は「え?」と、見つめてくる菜々を苦笑いで見返す。