最低王子と恋の渦
「それにしても、今日部活終わるの早いね優太」
「顧問いなかったし試合も終わったばっかだから」
へえ。
すると、そんな優太を三鷹くんはじーっと見つめだす。
「優太くんは何部なの?」
「サッカー部です。ディフェンダーです」
「いいねサッカー」
なんてニッコリ笑って言う三鷹くん。
サッカー好きなのかな?
ていうか未だに私は優太がサッカーをしてるところを見たことがない。
試合なんて観に行かないし、サッカー始めたのは中学からだし…。
いつもこんなボーッとしてる優太があんなサッカー選手みたいに機敏に走り回ってるところを想像出来ない。
「よしじゃあ俺はそろそろ失礼するよ」
と、そう言いながら三鷹くんはガタっと席を立った。
その様子を見た友也は三鷹くんに尋ねる。
「もう帰るのか?」
「うん。田中さん家の誰かが帰って来たらおいとまするつもりだったし」
「…あ、そっか」
そういえば、三鷹くんは私の為に…。
なんだかくすぐったい気持ちを胸に抱えつつ、私は三鷹くんを見上げた。
「今日はありがとう…!」
「いえいえ。田中さん明日は学校来れそうだし、澤村さんも安心するんじゃない」
「あはは」
…そうだ。
三鷹くんは菜々の代わりにお見舞い来てくれてたんだ。
ほんとに色々お手数お掛けします…。