最低王子と恋の渦
「まあバレたもんは仕方ない! その代わり楽しみにしててよ! 誕生日っ」
爽やかな笑顔を向けてくる友也に、私は一瞬見とれてしまった。
ナイスポジティブ…!
私は右手でグッドサインを作って何度も頷いた。
…私ももうすぐ17歳かぁ。
早いなぁ。
ちなみに私の誕生日は年を越してからです。
「ねえ、珠妃ちゃんの為にバイトってどういうこと?」
すると、そこへ突然割り込んできたのは優太。
テーブルのそばに立ち、私達を見下ろしている。
私と友也が幼馴染なように、優太と珠妃ちゃんも赤ちゃんの頃からの幼馴染なのだ。
「あー、珠妃大阪行きたいんだってさ。憧れの漫画家が講演会みたいなの開くらしくて。その為のお金なんだー」
「……一人で?」
その優太の言葉に私と友也は目を合わせる。
そうだ、
そうなるのか。
全く考えてなかった。
「…それ俺も行こっかな」
「え!? 優太そんなお金あるの!?」
「部活のせいであんま遊びに行けてないしお金も使ってないからだいぶ貯まってる。余裕で行けるよ」
「で、でも珠妃の連れ添いなんかでそんな大金…」
「俺珠妃ちゃん心配だから」
淡々といつも通り話す優太に、私達は圧倒される。
…優太の珠妃ちゃん心配症は相当なもののようだ。
「まあ優太がそこまで言うなら行っておいで」
「ありがとうな優太、珠妃頼むぞ!」
「合点承知之助」
その無表情と一定のトーンでそれ言うのやめて欲しいなぁ。