最低王子と恋の渦
――そして放課後。
私と菜々は駅近くのファミレスに入っていた。
ここは安くて有名であり、庶民の舌からしても普通に美味しくて人気なのだ。
つまりは金欠な学生には最適な溜まり場ということ。
「うーん、三鷹くんは西垣さんかぁ」
ジュースをストローでかき混ぜながらそう呟く菜々。
私はズーとメロンソーダを飲む。
「なーんか面白くないよね。美男美女で予想された結果に落ち着くなんて」
「菜々は一体何を求めてんの」
「私は第一に美乃に幸せになって欲しいのよ」
そう真剣な眼差しを向けてくる菜々。
私はそれを見てハァと溜息をつく。
「ただ単に自分が楽しみたいだけでしょ」
「まあね~」
そう笑いながら菜々はまたジュースを飲んだ。
そもそも、私の幸せってなんなのか。
菜々は何が私の幸せに繋がると思ってるんだろう。
三鷹くんは関係ないし。
「ぶっちゃけさぁ、西垣さんみたいな美人より私は美乃みたいな凡人の方が彼女にしたいと思うんだよね」
「誰が凡人だ」
「まあ男子の考えなんて分かんないからどうにもならないけどさぁ~」
元も子もない話だ。
どうせ私みたいな凡人はモテませんよ。