最低王子と恋の渦





「…ど、うなのかな……断らないかもしれない」


「うんうん。断っちゃ駄目だもん」


「…え?」


「美乃はもっと自分の素直なところを考えないと駄目だって。幸せ掴めないよ」




ニッと歯を見せて笑う菜々を、私は呆然と見つめる。



す、素直なところ?

私素直なのか…?




「あれ? 君ら柳谷高校の子?」




と、そこへ男子高校生数人が私達の座るテーブルへと近寄って来た。


私と菜々は驚いてそちらを見る。




「柳谷に俺の弟がいてさー、和久井(わくい)って言うんだけど知らない?」




短髪の背の高いその人はニコニコとした笑顔で私達に聞いてくる。



い、いやわけ分かんないんですけど…。

なんで突然そんなこと聞きに来るんですか。



でも和久井くんならうちの学年に一人いたような。


ってことはこの人ら三年生か?



別の高校だけど制服も着てるし。




「あーいますよ和久井(わくい)直哉(なおや)。クラス確か5組だっけ」




そう思い出すように宙を見つめながら言ったのは菜々だ。


菜々は最初驚いてはいたものの、こういう突然寄られることに動じていないみたい。


私はこんなに意味不明さに戸惑ってるのに。



ナンパとかではなさそう…だけど。





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