最低王子と恋の渦
「ちょっと、美乃怖がってますよ」
菜々が短髪の人を止めようとしてくれるが、他にいた男子達がぞろぞろと菜々の隣に座ったり話し掛けたりし出した。
…えっ。
これってまずい状況なんじゃ。
「あ、あの…ほんとやめて欲しいんですが…」
「あれ、普通に喋れるんじゃん」
私が少し短髪の人から遠ざかると、彼はより興味を示した様子で再びズイっと距離を縮めてきた。
喋りたくないから喋らなかったんだよ!
しかし私のヘタレではなんの抵抗も出来ず、ただただ彼を遠ざけることくらいしか出来なかった。
菜々も迷惑そうに他の男子達を追っ払おうとしている。
ていうかもう…ほんとに帰ってくださいよ…。
と、そんな時。
「あのさ、虫唾が走るから早くどこかに消えてくれない?」
ハッと、私は顔を上げる。
見ると私達のテーブルの傍に、見慣れた美少年が立っていた。