最低王子と恋の渦
もちろんそれは紛れもなく三鷹くんだった。
…って、三鷹くん!?
なんでここに!?
「…え? 何、もしかして美乃ちゃん達の知り合い?」
きょとんとして短髪の人が私達に尋ねる。
すると、不意に三鷹くんは短髪の人をギロリと睨んだ。
「は? 何勝手に名前呼びしてんの。ていうか早くそこからどいてよ。田中さんの隣は俺なんですけど」
「え、何こいつ…もしかして美乃ちゃんの彼氏?」
「だから名前呼びすんなって。ほら立って早く」
その場にいる三鷹くん以外の全員が呆然とする中、三鷹くんは短髪の人と他の男子達の腕を掴んで無理矢理立たせた。
…てか色々ビックリしてるんだけど。
「申し訳ないけど俺が先約してたんだ」
「…なーんだ、男いたのかよ」
三鷹くんの言葉を最後に、残念そうな表情を浮かべつつも案外素直に帰ってくれた。
男子達が去った後、私と菜々は大きく息をついた。
「はぁー、良かったよ三鷹くんが来てくれて。ありがとうね」
「あ、ありがとう三鷹くん。…なんでここにいるのかは分かんないけど」
菜々と私が三鷹くんを見上げて言うと、三鷹くんはストンと私の隣に腰を下ろした。
“田中さんの隣は俺なんですけど”
ふとさっきの三鷹くんの言葉を思い出す。
…ど、どういう意味なんだ。
ていうかいつから三鷹くんのものになった。