最低王子と恋の渦
「…ねぇ三鷹くん、西垣さんとは話したの?」
私の問い掛けに、三鷹くんはピクっと動きを止めた。
菜々も「あぁそうだそうだ」と言って興味津々で三鷹くんを見つめ出す。
一体どんな話をしたのか。
やっぱり告白だったのかな…?
「…話したよ。西垣さんのこと結構知れたかもね」
「ほう」
三鷹くんの言葉に菜々はコクリと頷いた。
…し、知れたのか。
え、ていうか告白じゃなかったの?
「残念だけど田中さん達の思ってるような告白じゃなかったよ。普通に話しただけ」
そんなことを言う三鷹くん。
でも、果たして本当にそうなのか。
わざわざあの西垣さんが三鷹くんを呼び出したんだよ…?
そんな普通に話すだけなわけない気がするけどなぁ。
…まあ私には関係ないんだけどさ。
「…ま、それなら興味ないね。ささご飯頼もう」
切り替えの早い菜々はそう言いながらバサっとメニューを開いた。
そんな菜々に「お前ってほんとうざいな」と貶す三鷹くんを、私は横目で見る。
…告白じゃなかったのかぁ。
……自分でも分かんないけど、なぜかホッとしている気がする私。
まだ、三鷹くんと普通に友達として話せるって思ったからかな。
……きっとそうだ。