最低王子と恋の渦
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「うわぁすごいね川平くん」
お昼休み。
友達の澤村菜々と一緒に教室でお弁当を食べていた。
私は今日起こったことを一通り菜々に話した。
「美乃としてはどうなの?」
「…え?」
不意にそう聞いてきた菜々は、じっと私を見つめる。
「川平くんのこと。好きなの?」
…そう、
そこが問題なんだよなぁ…。
「…好き…っていうか、幼馴染としてしか見てなかったから…その…」
「…あーはいはい。よくあるやつね」
菜々はうんうんと頷きながら、卵焼きを一つ口へ運んだ。
…よくあるやつ、か。
まあよくあるパターンだよね。
「ま、川平くんもそれ分かってて返事聞かなかったんだろうし、これからよこれから」
そう言った菜々は水筒のお茶を一口飲んだ。
ほんとこいつはご飯だけは食べるの中断しないな。
あんまり食欲ないけど私も食べないと…。
「ところで三鷹くんとはどうなの?」
「むぐっ」
唐揚げを口に入れた瞬間にそんなことを聞かれ、私は思わず吐き出してしまいそうになった。
「み、三鷹くん? なんで?」
「だって仲良いじゃん最近」
「いや仲良くないよ。一方的にいじめられてるだけ」
「…そうかぁ? 三鷹くん他にこんなに絡んでる女の子って美乃以外いない気がする」
…いやでも。
さすがにあんな最低野郎とどうかなる気が全くしないんだけど。