最低王子と恋の渦
ノートを担いで私は教室を出る。
…案外重いなこれ。
すると突然、教室の後ろのドアから三鷹くんが出てきた。
「ごめん田中さん、俺も日直なのに。俺が持って行くよ」
そう申し訳なさそうに言ってくる三鷹くんに私は少し驚いた。
そういうとこちゃんと気遣える人なんだ。
しかし私はチラッと先程まで話していた女子達の方を見る。
彼女達は残念そうな顔を見せるよりむしろ、「空気読めよ」と言わんばかりの威圧感で私を睨んでいた。
怖すぎる。
「あ、いいよいいよ。私日直の仕事全然出来てなかったし」
「え…まあそれはそうだけど。…じゃあ半分持つよ」
いやその方がもっとやばいことになるんですけど。
優しさは嬉しいけどノートくらいなら別に私一人で持っていけるからなぁ。
「ありがと、でもほんと大丈夫だから。話してていいよ」
私は笑顔でそう言い、逃げるようにその場を後にした。
三鷹くんは最後まで申し訳なさそうな顔をしてたけど、別にそんなの関係ない。
三鷹くんは私なんかに気遣わなくていいんだよ。
ていうかあんまり関わり持たない方が賢い気がする。
だってこんなに人気な三鷹くんと話してたら何言われるか分かんないし。
…なかなかにクズだな私も。