最低王子と恋の渦
「…そ、そう言えば…一年生に告白されたんだってね…」
恐る恐る言い出す珠妃。
なんとか平常心を保つ為に視線は常に目の前の漫画に置いている。
「…あー、うん」
いつも通りの無感情な声。
珠妃はやっぱり、と唇をきゅっと噛んだ。
「返事…って…」
「断ったよ」
ホッと胸を撫で下ろす珠妃。
…別に優太の事が好きってわけじゃないけど、
なんとなく、優太が他の女の子に取られるのは嫌だ。
そして少しの間、二人の間には沈黙が訪れた。
と、
「……なんで断ったの? 告白した子すっごい可愛い子だったのに…」
聞きたくもなかったのに聞いてしまった珠妃は言ってから後悔した。