悪魔の罠にご用心!?

話相手もおらず、一人で食べる朝食。
考えるのは今朝見た夢のことである。

「誕生日だってのに変な夢見ちゃったな・・・」

そう、今日は綾香の16歳の誕生日なのである。

「別に嫌な夢ってわけでもないんだけど・・・」

不思議な夢だった。
目の前は真っ白なのに声だけが聞こえてくる。その声はとても暖かく、しかし鈴の音を鳴らしたような凛とした強さを持っていた。

そんな事をぼんやりと考えていた綾香は、ケータイの着信音によって現実に引き戻される。

「翔からだ!」

翔とは小さい頃からの幼なじみで、家も近いため、いつも一緒に登校している。

「えっ 、もう家の前にいるって・・・」

時計を確認すると、時刻はすでに遅刻ギリギリの時間になっていた。

「ええっ!もうこんな時間!?」

ずいぶんと長い間ぼんやりしていたらしい。
慌てて準備を済ませ、大急ぎで家を出る。
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