続♡プリンセス☆ロード
「紗南!どうした!?」
駆けつけてきたのは、レン。
レンはこの時間必ずこのそばを通る。
それは…、この城の者しか知らない。
それがわかっていて、ここで私に叫ばせたのか?
レン…、来ないで…。
「怖い…、怖いの…」
私の声だけど、私のモノではない言葉で紡がれる言葉。
まるで、本当に私がそう言っているようで…。
レンも、疑っていない。
そこにいる私が、私じゃないってこと。
レン、違うの。
それは、私だけど、私じゃない。
お願い、逃げて…。
「どうした。まさか、人魔に会ったのか?」
「怖い…レン…助けて…」
しな垂れるようにレンの胸にもたれかかる。
レンは、そんな私を受け止め、背中を撫でる。
私は、知ってる。
私の右手には、さっき部屋でこっそり持ってきたナイフが握られていることを。
逃げて!
そう叫んでも、私の口からは出てこない。
私のモノではない涙が頬を伝うけれど。
それは、私が流している涙じゃない。
「レン…愛してる…」
そう紡がれた言葉と同時に、レンの心臓めがけて向けられたナイフ。
「…お前っ」
ギリギリのところで気づいたらしいレンは体をそらす。
しかし、タイミングが遅くナイフはレンの脇腹に突き刺さる。