続♡プリンセス☆ロード



ナイフを抜く一瞬、レンの顔が苦痛に歪む。
私は泣き叫びながら後ずさる。



「…さ、な!」

「紗南ちゃん!」




もう嫌。
もう、嫌。
こんなの、もう…。



私はテラスの端まで後ずさると、ナイフを自分に向けた。




「紗南!やめろ!」

「やめて!紗南ちゃん!」





これ以上、レンを傷つけてしまうなら。
これ以上、皆を傷つけてしまうなら。




もう、ここで死んでしまった方がまし。





誰かを傷付けてしまうなら、その前に自分が傷ついてしまった方がまし。






「あ―あ、かわいそうなお姫様」






その場を切り裂くような冷たい声。
私は、その声を知っている。




「誰だ、貴様!」



レンが、血が溢れる横腹を押さえながら叫ぶ。






< 110 / 310 >

この作品をシェア

pagetop