続♡プリンセス☆ロード



「弱いところに付け込めば、人間なんて簡単に殺せるんだ。身も、心も」

「貴様!」

「悔しい?…まだ、足りないね。もっと悔しがればいい。もっと苦しめばいい」




なにを、そこまでこだわっているのか。
時々垣間見える悲しみは、気のせいではない。

なにを、抱えているんだろうか。






「でも、もう飽きちゃった。今回は、これで引き下がってあげるよ」





そう言った仁は、私を突き飛ばすとそのまま消えた。
私の手から離れたナイフはからからと音を立て滑っていく。


手を伸ばそうとしたけど、そのナイフを先に取ったのはソウシだった。


ソウシは、酷く傷ついた顔をしている。




「ソウシ…?」

「すいません…」





それは、なんに対する懺悔だったんだろうか。
ソウシはそうとだけ告げると、レンに駆け寄った。




「手当を」

「…いい」

「いいって、ダメですよ。血を止めないと」




きっと、私を気にして強がっているレンをソウシが制し手当をする。
止血のため、傷口を抑えつけられると激痛に顔をしかめるレンから、私は目をそらした。




私は、手を見つめる。
レンを刺した感触が残る。
私が、刺したんだ。

レンを、この手で……。




< 113 / 310 >

この作品をシェア

pagetop