続♡プリンセス☆ロード
「紗南…」
レンの側に行けない私を見かねてリュウが側に来てくれる。
私は、泣きそうな目でリュウを見た。
リュウも、悲しそうな瞳で私を見る。
「…もう、大丈夫だ」
リュウの優しい声。
でも、私…。
―催眠ってね、なにもない人にはかからないんだ。少しでも、そういう気持ちがあったから、簡単に催眠にかかったんだよ
私の中に、そんな気持ちがあったというの?
私の知らないそんな思いが、あったと…。
「紗南、あいつの言ったことは、忘れろ」
「レン…」
「今日の事も、全部忘れろ」
「忘れろ、なんて…」
「お前は、なにもしてない。なにも、なかったんだ」
なにもなかったことになんてできないよ。
レンを傷付けてしまったんだよ?
私は、レンに迷惑をかけてばかり。
レンが気づいてくれなかったら、レンは死んでいたかもしれないのに。
そんな優しい言葉、掛けないでよ。
惨めになるだけ。
「レン、手当てをしに…」
「ああ…」
ソウシが、レンを連れていく。
私はその背中を見つめながら、その場から動けずにいた。