続♡プリンセス☆ロード
「そこにはさ、紗南ちゃんの家族とか、仲間とか…大切な人もいたんだよね」
「…ああ、そうだな」
「俺たち、紗南ちゃんからそんな人たちや生きてきた国を奪ったんだよね」
紗南はなにも言わない。
寂しさを表すことはあっても、一度も帰りたいと口にしたことなんてない。
でも、本当は帰りたいんじゃないのか。
国を思って、胸を痛めてるんじゃないのか。
「わかっている。そんなことは…」
「ごめん…、違うんだ。レンを責めたいとか…そういうんじゃなくて…。紗南ちゃんの涙見たら、どうしたらいいかわかんなくって…」
「ああ…。あいつは、ずっと孤独と戦っているのかもしれない」
「孤独…」
自分たちがいるじゃないか、とミナトは思う。
でも、自分たちでも、埋められない寂しさがあるんだと知った。
騎士と王妃として、必然的にできてしまう距離をひどく嫌がっていた紗南。
「今…ようやく分かったよ。紗南ちゃんが、ずっと言ってたこと…」
「ええ…」
「紗南ちゃんが王妃になって、俺たちもいろいろと立場が変わって…。俺たちは、紗南ちゃんへの気持ちを変えたつもりなかったけど、紗南ちゃんには変わって見えたんだね」
「呼び方だけの問題ではなく、周りの接し方も多少変わっていたでしょうから。僕たちも、王妃さまとして接さざるをえないときの方が多かったですしね」
それが、紗南にとっては、孤独を感じる原因となっていた。
ただでさえ、知り合いの少ないこの世界。
きっと生きる勝手も違うだろう。