続♡プリンセス☆ロード
「本人がそれでいいと言っているんです。気になさらず。この者は、かしこまられるのが苦手なんです」
「レン…」
「…ありがとうございます」
レンのフォローで、ホッとしたような顔をする。
王にまでそう言われたら、納得してくれたんだろう。
「たくさん、おいしいもの用意しているからいっぱい食べてね、ステラちゃん」
「うんっ!バイバイ、ちゃな!」
「バイバイ」
ステラちゃんと手を振り別れると、お母さんは微笑んで頭を下げ行ってしまう。
「なんだか…」
「ああ、あの者たちも前王さまの横暴な振る舞いの被害者だからな」
「え?」
「だからこそ、王族を離れたんだ」
金も権力も、地位も名誉もすべて我が物にしようとする強欲の持ち主。
そのせいで、ルネス王国の国王と王妃は亡くなり、息子であるセリムも深い苦しみを背負うことになった。
その、被害者でもある…。
「俺もよくは知らないけどな。さっきみたいに、子どもでさえ自分に無礼を働くことを許さなかったと聞く」
「そんな…」
「それを見て来たからこそ、だろうな」
でも、今はもうそんな恐怖に怯えることはない。
セリムが王様になって、国は変わった。
それでも、過去に負った恐怖は簡単にはぬぐえないということか。