続♡プリンセス☆ロード
第17話 『紗南…、最後に、…抱きしめてもいいか?』
「おはよう、美由紀」
「紗南!?ウソ!!」
美由紀に挨拶を交わして学校の門をくぐる。
私が向かうのは3年の教室。
私は、昨日病院のベッドの上で目が覚めた。
身体には包帯が巻かれてあったけど、その下の傷跡はもうほとんど塞がっていて、しかもその治療薬もお医者さんが言うには、見たことのないものだったそうだ。
そんなことを言われたところで私には思い当たることなんて一つもないし。
私は当たり前に学校に行って家に帰って眠って起きたらそこにいたんだから。
だから、高校2年生だった私が、どういうわけかもう3年になっていて。
その空白の時間、私は行方不明になっていたと言われても、全くピンとこないんだ。
そして、長かった髪は、どういうわけかバッサリとショートボブになっていた。
ロングヘア結構気に入ってたのに、ショック。
しかも、行方不明になる前に親には置手紙を残していたというし…。
それを見せてもらったけど、確かに私の字だった。
でも、そんなものを書いた記憶なんて全くない。
そこには、私はそばにいたい人ができたから、その人のところに行きます。
とても遠い場所だけど、私は幸せだから安心して。
そう書かれてあった。
側にいたい人なんて、私には思い浮かばないし。
お父さんもお母さんも、私がいつ戻ってもいいようにと学校には休学手続きを取ってくれていたみたい。
そして、学校側の配慮でみんなと同じ3年として一緒に通えることになったんだけど…。
「ちょっと、なんで?」
「なんでって…」
「だって、レンさんと一緒に異世界に行ったじゃん。どうして戻ってきたの?」
…ちょっと美由紀さん?
なにを言っているの?
レンって誰。
そして、異世界ってなに?
マンガの読みすぎなんじゃないの?
「なに言ってるの、美由紀。頭、打ったんじゃないの?」
「いや、ちょっと!どうなってるのよ!」