続♡プリンセス☆ロード
「俺の一方的な気持ちで、ミナトを引き連れてここまで来たが…。冷静になってみると、このままの方が、お前は幸せなのかもしれないな」
「レン!それ、どういうことだよ!」
レンという彼の言葉に反論したのは、ミナトという少年だった。
どういうこと?
「向こうに戻ったところで、お前を傷付けてばかりいる俺たちの側にいるよりも。なにも知らず忘れたままここで生きていく…天秤にかけたらどっちが幸せかなんてわかりきったことだ」
「でも…」
「紗南に戻ってきてほしい、それは、俺たちだけの願いだ。それに、紗南を巻き込むわけにはいかない」
なんなの?
突然現れて、引っ掻き回して、結局わけわからないまま勝手に解決して。
だったら最初から出てこないでよ。
私の、このこんがらがった心はどうしたらいいのよ。
「紗南…、最後に、…抱きしめてもいいか?」
「え……」
答えを告げる前に、近づいてきた彼に優しく包まれる。
抵抗、できなかった。
とてもさみしげで。
愛おしい者を抱きしめるように暖かく包み込まれて。
「紗南…」
声が、震えていた。
肩に、冷たい滴が落ちる。
泣いてる…?
私を、思って泣いてるの?
私の知らない私の事を想って?
こんな俺様で、強引で、涙なんて無縁そうな彼が…。
ズキン
胸が痛んだ。