続♡プリンセス☆ロード
「そ、そんなこと私覚えてないし…。その人のものならちゃんと返さないと」
「とんだお人よしだな」
「なによ。そんなカリカリしないでよね。前の私がどれだけあなたの事好きだったか知らないけど、私はあなたの事別に好きじゃないんだからね!そんな風にイライラされて許せるほど、私優しくないから」
「わかってる」
レンはそう言うと視線を外した。
あれ、傷ついちゃったかな…。
…なんか、やりづらい。
仕方ないじゃん。
私、覚えてないんだもん。
私、どんなふうに彼に接してたのかな?
「…そういえばさ、最初の時、あんた言ってたでしょ?俺が死んだと聞かされて心を乱してって…どういうこと?」
「紗南が人魔にさらわれる前、俺は使用人に刺されてる。…それを、人魔は紗南に俺はその傷で死んだと知らされたんだ」
「それで、私は記憶をなくしたの?」
「…俺たちは、そう聞いてる」
なんか、それって。
私がものすごく、この人の事好きだったってことだよね?
だって、記憶を消すほど動揺して、死んだって事実を受け入れられなくて…。
忘れたほうがましだって思ったってことだよね?
ちょっと違うかもしれないけど…。
なんか、信じられない。
恋なんて、したことないはずの私が、いつの間にかそんな壮絶な恋に落ちているなんて。
生きるか死ぬか。
守るとか、守れなかった、とか。
そんな次元なんだもん。
なんだか、私のわからない世界だ。
そんな風に命がけで守られること、私はどう思ってたんだろう。
当たり前だって思ってたのかな?
それとも、胸を痛めていたのかな?