続♡プリンセス☆ロード
ひとしきり泣いてすっきりした。
いつまでもクヨクヨしたって思い出せないものは思い出せないんだから。
ミナトは勝手にうろつくなと言っていたけど…。
だって、暇なんだから仕方ないよね。
そう自分に言い聞かせて扉を開いた。
廊下を歩いてみても、まったくなにも思い出せない。
記憶って、結構あやふやなものなんだなと痛感する。
「紗南さま!」
突然呼ばれて立ち止まる。
この、さま呼ばわり、慣れそうにない。
「…はい?」
「紗南さま!お戻りになられたんですね!」
今にも泣きだしそうな男の子。
…誰なの。
茶髪の、頭の右側を借り上げ、反対側に髪を流してセットしていて、少し釣り目できりっとした男の子。
つくづく、ここの人たちって整った顔してるわ。
あのレンもイケメンだったし。
ミナトも、やんちゃ系イケメン。
「俺…ずっと…ずっと、気が気じゃなくて…、俺のせいでケガをさせたようなもんだし…あの…」
「ちょっと待って、あの、ごめんね。私、そのこと覚えてないのよ」
私は慌ててその彼を止めると、彼は泣き出しそうな顔のまま私を見つめた。
いちいち説明するの面倒だな。
というか、レンたちは私の状態の事ちゃんと説明してないわけ?
もう!ちゃんとしてよね!