続♡プリンセス☆ロード
「王様は、本当に偉大なお方です。こんな私にも、お優しい言葉をかけてくださいました」
「ユキちゃん…」
「王妃さまもです。私は、そんなお二人にお仕えできて本当に幸せ者です」
とてもいい笑顔だ。
こんな素直で純粋な女の子が、そんな風に言ってくれるのが嬉しい。
「お二人は、私の両親に似てる気がします」
「ユキちゃんの両親?」
「はい。とても心優しく、温かい心を持った素晴らしい両親でした」
「でした…?」
「両親は、数年前に亡くなりました」
ユキちゃんの表情が陰る。
ユキちゃんがここで働き始めた理由にはそれも関係しているんだろうか。
こんな幼い子がただ一人で生きていくためには、お金だって必要なのだろうから。
ここで働けば、衣食住に困ることはないだろうから。
そんな理由があっても、おかしくはないだろう。
「悪魔がこの町を襲ったのです。その時に…」
数年前。
それはきっと、私がこの世界に来る前の話だろう。
そんなことがあっただなんて。
悪魔…。
今では、互いに歩み寄ろうとしている最中ではあるけれど、今までに悪魔に殺されてしまった被害者の家族たちの心境は計り知れない。
その人たちの心のケアが一番、気を使うのだとレンは言っていた。
それはそうだ。
誤解だったから、これからは悪魔と仲良くしましょう。
そんなことを言われたって、大切な人は帰ってはこない。
大事な人を亡くした悲しみは、消えることはない。
それなのに……。
許せというのは、何と酷なことだろうか。