続♡プリンセス☆ロード
一歩、一歩と上がっていくと、確実に近づいてくるその相手。
「まさか、王妃さま直々に来るとは、ね」
その人物はそういうと、口元に怪しげな笑みを浮かべた。
誰だ、灰色の髪と同じ色の瞳、それは人間ではないことを知らせる。
それでも、悪魔ともいえないその姿。
それは、悪魔の特徴である尖った耳も、長い爪も持ち合わせてはいないし、背中には羽もない。
まるで、姿は人間そのものだ。
羽は、ロイドもしまっている姿を見たことはあるが、尖った耳や爪はそのままだったはず。
ならば、この人は一体…?
髪の色や目の色を除けば、もしかしたら人間なのかもしれない。
「あなたは…一体…」
「…仁。俺の名前」
「じ、ん…?」
胸騒ぎがした。
いや、でも…。
そんなはずはない。
そういう名前だって、この世界にいるのかもしれない。
「あ、あなたなの?ミナトにケガを!」
「そうだって言ったら?」
「!!!なんであんなことを!あなたの目的は何!?そして、あなたは何者なの!?」
なんの感情も見せず、怪しい笑みを浮かべながら話す人という男にいら立ちを覚える。
全てを、知っているような。
わからない私を、あざ笑うかのような。
「俺は、人魔。お前たち人間が、消し去りたい存在だよ」
「え…?」
「お前たちっていうのは語弊があるね。あいつら人間が、かな」
言っている言葉が、理解できない。