晴れ時々@先生の妹【第2巻】
中村先生が二戸 梨杏の顔を見る。
──二戸、俺が今朝見た夢をお前は知っているか。
どんな時も、どこにいても、俺の側にいるはずの二戸が突然いなくなるんだ。
どこを探しても、二戸がいなくて。
何度、二戸の名前を叫んで呼んでも、お前は姿を現さない。
怖くなって、目が覚めた。
だから、文化祭の途中で二戸が姿を消した時。
俺が今朝見た夢はもしかしたら正夢で、もしかしたら……このまま現実になるんじゃないかと思ったんだ。
だから、二戸、俺はこの手を離したくない。
──お前が、どこかに急に行きそうで。
二戸を失うことが恐いんだ。
二戸が俺の傍からいなくなること、想像ができなないんだ。
そうだ、想像をしたくない。
あの夢の中で感じた喪失感がまだこの胸の奥にしっかりと残っていて。
俺の中の二戸 梨杏の存在は自分が想像をしているよりも遥かに大きいんだと再認識ができた。
二戸、どうしようもないお前のことが、好きだ──。
今はこうやって手を重ねて手を繋げることに、つかの間の幸せを感じている。