晴れ時々@先生の妹【第2巻】
……椿学園高等学校……
……保健室……
誰もいない、保健室。
中村先生に手を引かれて椅子に座る二戸 梨杏。
消毒液を片手に擦り傷の具合を見ている中村先生。
「二戸、派手に、転んだなー。ちょっと、我慢をしろよ」
「中村先生、しみて痛い!」
「だから、我慢をしろって」
「もっと、優しく治療をして欲しいんです」
「ったく、贅沢を言うな、もっと、痛くするぞ!」
「それは、止めてください」
「じゃあ、我慢しろ」
中村先生が膝にできた擦り傷に消毒薬をかけ、早く乾くように何度も優しく息を吹き掛け、絆創膏を貼る。
二戸 梨杏が立ち上がり教室に戻ろうと歩きかける。
「待てよっ」
中村先生が二戸 梨杏の腕を強く握り、引き留める。
はっと驚く二戸 梨杏。
「そんな格好で戻るのか」
「……えっ!?」
「まだ、教室へは戻らせないぞ。袖口のボタン、1個取れかかってるから、もう1回俺のところへ来い」
中村先生が二戸 梨杏の華奢な腕を握ったまま引き寄せる。
もう1度、椅子に座るように促される二戸 梨杏。