晴れ時々@先生の妹【第2巻】
――先生、先生?
嬉しくて、特に、何も用事がないのに呼んでしまう。
呼ばれると、振り返る中村先生。
「――何だ?」
――先生!
用事が無ければ、無理矢理にでも用事を見つけて作って、呼んでしまう。
「またか、……なんなんだ?」
中村先生が二戸 梨杏に細かく視線を送りながら静かに教室を出ていく。
――“先生”って呼び過ぎだろ、二戸 梨杏!
1時間目、現代文。
2時間目、数学。
頬杖を付きながら、だるそうな顔をして授業を受けている二戸 梨杏。
先生に、会えない時間が凄く寂しい。
休み時間、廊下で中村先生の姿を見つけて“まとわりつく”二戸 梨杏。
――中村せーんせい!
少し困惑の表情を浮かべている中村先生。
「は、早く、教室に戻れって!」
――“先生”って、気兼ねなく呼べる環境は、何て素敵なんだろう!
今、私は先生の生徒!
――二戸、俺の姿を見つけては何故“先生”とやたら連呼するんだろう?