晴れ時々@先生の妹【第2巻】
拓夢の長めの前髪の隙間から時々見える大きな二重の瞳が涙で少し潤んでいる。
「俺、前からずっと好きだった女の子に人生で初めて告白をしたら。あっさりと、もっと強引な男の子の方が好きなのって断られた……」
「なんだ、失恋か――」
「うん。失恋でムシャクシャしている気持ちのところへ、親父に高3だろもっと受験勉強に本腰を入れろ!と怒鳴られ、口論の末に一発思いっきり殴られて辛くて家を飛び出て逃げて来たわけだよ」
「で、左頬が腫れているわけか。元プロボクサーの親父のストレートパンチは確かにキツイよな、俺も昔良く殴られたからその気持ちはわかるよ。家出、しかしお前も良く勇気を出してあの家を飛び出してきたんだなー」
拓夢が顔の前で両手を合わせて目をギュッと瞑った。
「兄さん、お願い!しばらくの間でいいから俺をここにおいてよ。頼むっ、お願い!」
「長期間はごめんだ!わかったな、拓夢?」
拓夢の表情が急に明るくなり、喜び嬉しそうに笑った。
「わかってる、兄さん、サンキュウ!」