晴れ時々@先生の妹【第2巻】
中村先生がキリッとした目付きで拓夢を見た。
「お前、この事は絶対に口が裂けても誰にも言うなよ!もし、拓夢がこの事を誰かに言った時はお前にこの家から直ぐに出ていってもらう、からな!」
拓夢に釘を刺すように強く言った中村先生。
手を大きく横に振る拓夢。
「絶対に言わないよ!だって、言えるわけがない、そんな世間の大問題になるような事を……。それに俺、今、行くところがなくなったら、困るから……ねっ」
中村先生が腕を組みながら目を瞑って静かに何度も頷いている。
急に拓夢が何か企んだ表情をし、中村先生の肩を引き寄せた。
「あのさー、あの子と……一緒に暮らすようになってもう長いの?」
「まだ、そんなに、長くはない……」
「ふーん。じゃあ、聞くけどさー、一緒に暮らすうちに教師と生徒の間に少しずつ禁断の恋愛感情が芽生える、って事はないの……?」
二戸 梨杏が少し離れた所から首を傾げながら中村先生と拓夢の二人の背中をじっと見ている。
――あの二人、何をひそひそと話しているんだろう?