晴れ時々@先生の妹【第2巻】
まさかの拓夢の質問に顔面が硬直した中村先生。
――拓夢、今の俺にそんな事を聞くなよ。
俺と二戸 梨杏の関係は教師と生徒だときちんと自覚はしている。
ただ、だけど……、俺の中の気持ちがモヤモヤし出すとその境界線を超えてしまいそうになる自分にブレーキがかかりにくくなっているんだ。
後ろを少し振り返って二戸 梨杏の顔をチラッと見た中村先生。
ポカーンとした困り顔の二戸 梨杏と目が合う。
――中村先生、もう私、お腹が減っちゃったよーー。
アイツの顔、まるで困った子猫のようだった。
――側に二戸 梨杏がいるっていうのに、俺の本当の気持ちなんて大きな声を出して言える訳がないだろう、拓夢。
だから、俺は、嘘を付いた――。
自分自身に嘘を付いた。
本心とは全く違う言葉を選び、冷たい表情を作る。
自分の為に。
そして、俺の近くにいる二戸 梨杏の為に……。
「そんなこと、あるわけがないだろう――」
言った後に後悔の大波が一気に押し寄せて、俺の唇が微かに震えたのがわかった。