花火
朝、外の光で起きた。
横には流星がいて、手を縛っていたベルトは床におちていた。
リビングに座り込みタバコをふかし落ち着くことからはじめた。
携帯を見ると流星からの着信履歴がいっぱいあってその中に仁の名前もあった。
「……もしもし」
「花火!やっと連絡とれた!いや、なんか花火の家の鍵なくしちまったみたいでさ昨日家いったんだけど留守みたいでなにしてたの?」
「ごめん、ちょっと風邪気味で寝込んでてインターホンもきってた」
「え、大丈夫?今日学校休んでゆっくりしてろよ?な?」
仁のいつもの優しい声を聞くともう会ってはいけない気がした。
こんなに優しいのに、こんなに思ってくれてるのに裏切ってばっかりで、仁にはもっといい人がいる。仁を大切にしてくれる。女の人がいるはず。
「花火?」
「ねぇ、仁、今晩あえる?」
「大丈夫だよ。俺も花火にあいたい」
仁、ごめんね。自己中だよね。人間としてどうかしてるよね。けどね、私どうしても…変わりたいよ。
「じゃまたあとでな」
「うん…またね」
電話を切ると寂しさが私を襲う。
「花火…」
「流星…おはよ」
「花火…ごめんな。俺どうかしてた」
「今晩、仁と別れるね」
「花火……」
「学校遅れちゃうよ、私今日用事あるから休むね。」
流星を見送ると私は倒れるように眠りについた。
目が覚めると夕方で仁の仕事が終わる一時間前くらいだった。
シャワーをあびて化粧をし、タバコをふかしているとインターホンがなった。
玄関を開けると仁がいて、私をみるなりだきしめてくれた。
「花火……あいたかったよ」
「仁…はいって」
リビングに座る仁にコーヒーをだし横に座った。
「どうしたの?なんかあった?」
「仁、あのね、」
「あ、花火俺から話していい?」
「うん………」
「花火…これ。」
「え?」
黒の小さな箱。ゆっくりあけると指輪がはいってた。
「今日で2年だろ?やっぱおれ花火じゃなきゃダメみたいだし。その、ペアリングってゆーか、婚約とゆーか」
「仁…ごめん」
「え?あ、重かったかな。まだ早かったよな」
「そうじゃなくて、仁…別れよう」
「え………」
仁は目を見開いて微動だにせず固まっていた。
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