花火
ぴんぽーん…
インターホンの音でおきた。
床で寝たせいで全身いたかった。
目をこすりながら玄関に向かい鍵をあけると勢いよくドアがあいた。
「花火ぃぃい!!」
「えぇ!!!」
誰かもわからないまま抱きつかれふわっと甘めの香水の匂いでわかった。
「海斗!?」
「花火元気だったか?あぁ、お前まだねてたの?」
お兄ちゃんだ。
「いや、え?なんで日本にいるの?え?仕事わ?学校わ?」
「相変わらずだなあ。とりあえずはいっていい?」
「あ、うん」
海斗はズンズンと部屋に入った。
「学校は休みなんだ、それと日本で撮影だからお前にあいに来た」
「あ、そうなんだ。」
「はい、お土産」
「え、やった♡さすが♡」
日本に帰ってくるといつもお願いしている化粧品をもらった。
「なぁー。早く支度してー」
「え?あ、学校だ」
「いや、今日は休め!そんで俺に付き合え」
「は?なんで?」
「久しぶりなんだよー。だから道案内とか含め付き合え」
「けど、お兄ちゃん出歩いて大丈夫なの?」
「サングラスかけりゃ大丈夫大丈夫」
整った顔立ちに抜群のスタイル。雑誌の表紙にもなるのにひょこひょこあるいて人だかりができるのが心配だった。
手先が器用なお兄ちゃんに化粧とヘアセットをしてもらい、俺の横あるくんだからと全身コーデを任せ外へでた。
「どこいきたいの?」
「んー、とりま服かなあ。」
「モデルさんは大変ですな」
「いや、お前のな」
「え?」
「母さんに頼まれたのー。」
「そうなんだ。ママ元気?」
「俺もあんまりあってないけど元気っぽいよ」
「そ……」
海斗は目についたお店にかたっぽしから入り2時間後には私の両手は紙袋で埋め尽くされた。
「海斗おもいー」
「もぉ、しょうがないなあ。」
「ありがと」
「けど腹減ったしランチいこ」
「やった!いこいこ」
海斗のセンスは抜群にいい。
誰がみてもオシャレだって思う。
私の服のほとんどは海斗が選んでる。
少しあるいたとこに小洒落たカフェに入り荷物を下ろすとふっと身体が楽になった気がした。
「お前いつものでいいよな?」
「う、うん」
海斗は私が頼もうとしたものを注文し、椅子に深くもたれた。
「よく覚えてたね」
「そりゃ可愛い妹のだからな」
「なにそれ」
「はは、けど、お前なんか痩せた?」
「そう?体重測ってないからわかんないや」
「なんか顔こけた?てか、飯くってんの?」
「え、うん、食べてるよ」
「そっか、お前身体弱いんだから無理すんなよ」
「してないよー。ちゃんと薬も持ち歩いてるし?」
「ならいいけど、けどほんと痩せたな。てか痩せすぎ」
「もーわかったよー。」
「168cmだったよな?40kgある?」
「あるんじゃない?」
「いや、ないな。」
「ねー、一応私女の子なんだけど?」
「その前に俺の妹な?」
海斗はパパやママよりも私のことを一番に心配してくれる。たった1人のお兄ちゃん。たった1人の妹だからか私を大切にしてくれる。
「そんなことより、海斗彼女わ?」
「いないよ?」
「え?なんで?」
「いや、彼女できたらこんな風に花火の相手できないよ?」
「嬉しくないからー。私って荷物?」
「馬鹿、そうじゃなくてな?俺も一回いたんだよ。大学で日本人の。麗美ってゆうんだけどめちゃくちゃ美人だし綺麗な人だった。27歳でさぁ…」
「まってまって!27歳で大学生?てか27歳って海斗今21歳でしょ?6個も上だよ?」
「あぁ、大学の教授。俺年上のが好きだし全然問題ないんだけど、嫉妬深くてさお前の話してたら怒って振られたよ」
「え?そんなにはなしたの?」
「んー、そんなことないんだけどな」
「じゃないと怒らないでしょ」
「まぁ、それもそだな」
海斗は不思議そうな顔してたけど、そんなの当たり前だよ。
きっと海斗のことだから永遠私の話してたんだろうな。
「ほら、いくぞ」
「え?」
オムライスを食べ、ゆっくりカフェオレを飲んでいると海斗は紙袋をもちさっさと歩いて店をでた。
「もう結構買ったと思うけど?」
「今から撮影なの」
「あ、そうなんだ。なら私先帰ってるね?」
「お前もこいよ!」
「え?なんで?」
「どうせ予定ないんだろ?」
「そりゃ誰かさんが学校休ませたから」
「よし、いくぞ」
言われるがままについていくとおっきなスタジオがあり、私は圧倒された。
スタッフさんは海斗を見るなりペコペコしてて他のモデルさんでさえもきっと年上なのに敬語で。
控え室についていき荷物を置くと海斗のマネージャーさんが入ってきた。
「海斗さん、すぐ撮影始まりますんでメイク室いってください」
「はーい。」
営業スマイルとゆうのかこんなにニコニコした海斗…気持ち悪かった
「海斗さん、そちらは?どちらのモデルさん?」
「「え?」」
「え?」
「こいつ妹だよ」
「えぇ⁉︎お綺麗ですね」
「はは、だってよ花火」
「滅相もございません」
初めてきた土地に放り投げられたみたいだった。
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