花火
冬休みになり、クリスマスがきた。
ごうくんはその日も仕事で、夜はレストランで食事することになっていた。
ごうくんに時計をプレゼントしようと街にでた。街はカップルでいっぱいで少し寂しい気分になった。
お店に入り、自分でごうくんに合う時計を探して紙袋を大切にもち、お店をでた。シルバーの男性ものの大きな時計。
久しぶりの街はキラキライルミネーションが輝いていた。待ち合わせの時間が近づき、待ち合わせ場所へむかった。
「花火」
「ご…ぅ、」
仁だった。
「最近学校ちゃんといってるか」
「うん…」
「なぁ、花火…やり直せないか」
「仁…ごめん…」
「花火…おれ…」
「ごめん…」
走り去ろうとする私の腕を仁がとめた。
「花火…」
「ぃゃ…やめて…」
「花火…俺…」
腕がパッとはなれた。
「あぁ?」
「その手はなしてくれるか」
「お前だれだよ」
「花火の彼氏だよ」
「え……花火…ほんとかよ」
「うん…私…」
「花火…いくぞ」
ごうくんにつれていかれるがままに私はついていった。
「ごうくん…」
「花火…大丈夫か?」
「ごうくん…キスして」
路地のど真ん中で熱いキスをした。
「ごうくん…私ごうくんのだよね」
「花火…重いかもしれないって今日渡すの迷ってた。」
ポッケからでてきたのは黒い箱。
「まだペアリングってだけだけど、」
ピンクゴールドの可愛い指輪。
左手の薬指にピッタリだった。
「花火…おれの花火だよ」
「ごうくん……」
紙袋から時計をだし、ごうくんの腕につけた。
「ごうくんの趣味似合うかわかんないけど、どうかな」
ごうくんは目を輝かせて私を抱きしめた。
「花火…嬉しいよ」
「ごうくん…私も」
仁のことは完全ではないけどふっきった。指輪が私を強くさせた。
今はごうくんがなによりも大切だった。

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