花火
あの日から毎日始めた。一日で3人相手をすることもあった。あまり寝れていなくて、いや、寝たくなくて、学校で寝ることが増えた。
「花火ー、またねてるのー?」
可愛らしい華奢な女の子。
「若菜、おはよ」
「最近順調みたいだね」
小声でそういうと若菜はにっこり微笑んだ。そう、援交を私に教えたのは若菜だ。若菜は私の欲しいものを全てもっている。あの中学のときの英語の先生も。
若菜とは真逆な私。身長は高いし、愛嬌なんてなくサバサバした性格。女受けは悪かった私の周りは男ばっかりだった。
高校に入ってからの友達の流星。
「花火ー、遊びいこーぜ」
「ねぇ!着替えたいし送ってくんない?」
メットをかぶりバイクの後ろにのりぶーんとあっという間にマンションについた。
「流星あがってきなよ、散らかってるけど」
「いいの⁉︎親とか」
「そんな見た目して律儀かて!誰もいないよーん」
「あ、そうなの?じゃあおっじゃましちゃおー」
ロックをときエレベーターをあがると流星はニコニコしていた。
「どーぞ」
「おっじゃま…します」
カバンをソファーにおきブレザーをぬいで流星をほったらかしてシャワーをらあびた。部屋に戻ると固まった流星がいて思わず吹き出して笑った。
「流星、どうしたの?なに固まってんの、うけるんだけど、」
「うっせーよ!てか、お前1人ですんでんの?」
「そだよ?誰もいないってゆったじゃん」
「いや、そうだけど」
「なによ、楽だしいーよ?」
「なんかモデルルームみたいな生活感がない寂しい部屋だな。」
「褒め言葉としてうけとっとくね」
黒の合皮のソファーに腰掛ける流星の横に座りタバコに火をつけた。
「お前タバコすってなかったよな」
「あぁ、仁がね、」
あの苦さがほしくて、私はタバコを吸い始めた。いいものではないことは吸ったほうがよく理解できた。
けどあの苦さだけは嫌いになれなかった。
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