Trick or Treat?
「今の、何」
「え、デコピンです」
「…………はあ」
由良くんが頭を押さえながら、大きなため息をつく。
ええっと、私、何かしました?
「目を閉じさせた方が、俺にとってはいたずらにしか思えないんだけど」
「えっと、あのそれは、由良くん怒るかも……と思って、」
「知らなかった。期待させといて、裏切られるってここまで腹立つんだ」
そういうと、由良くんは押さえていた手を離して、じっと私を見る。
そして、
「いたずらってゆーのはさ、」
「由良く、わっ……!」
───グイ、っといきなり私の腕を掴んで引き寄せた。
「こういうコトを言うんだよ」
一瞬、何もかもが真っ白になる。