Trick or Treat?
やきもちな由良くん
*
「失敗しました」
「……やっぱり一筋縄じゃ、いかないかぁ」
自販機の前、私はお礼金として買ったコーヒーを神崎くんに差し出す。
神崎くんはありがと、と短く返事するとプルタブを開けてこくっと一口飲んだ。
私もそれに合わせて、ミルクセーキを一口。
「何があったんだよ」
「……」
思い出すだけでも恥ずかしい。
ので、私は曖昧に笑って見せる。
こうして神崎くんと、由良くんの話について相談するのは何回目だろう。
何度も計画を立ててやってきたものの、由良くんはことあるごとにそれを軽々蹴っ飛ばしていくんだけど。