Trick or Treat?
「はあ……、私本当に……由良くんの彼女なんッスかね」
だって、私は……私は、由良くんに一度だって〝好き〟だと言われたことが、ない。
告白したのは、私の方だし、確かにOKしてくれたけれど、由良くんからは一度も好きだって言われたことが無くて。
言うのはいつも、私の方だった。
「あー協力してる俺が言うのもなんだけどさ、」
「……」
「由良は、お前からかって遊んでるだけなんじゃないのか?」
ぐっさりと、その言葉が胸に刺さる。
手に持っていたミルクセーキが冷たいことに気付く。
そして、それをいつの間にか強く握りしめていたことも。
「もう付き合ってかなりたってんだろ?」
「……」
「それなのに、好きだって言われてねーんだぜ?お前には悪いけど、俺にはそうとしか思えない」