Trick or Treat?
私は小さく笑いながら、制服のポケットに手を伸ばす。
「今、これくらいしか持ってないですよ」
いつも非常食用に入れてる、りんご味の飴。
由良くんがりんご好きだから、持ってるだけだけども。
「いいよ、それで」
それを受け取ると、由良くんは包装をといて飴を放り込んだ。
そして、鼻の先が触れるほどの距離で、
「お菓子ももらうけど、いたずらもするから」
甘く囁いた。
そして、ゆっくり近づいてきて───
「ん、」
由良くんの唇が、優しく触れる。
「開けて、口」
もう、何も考えられなくなって、私は何時の間か開けていた口からゆっくり、由良くんの舌が侵入してくる。
「ゆ、らっ……く、ん、あ、」
りんごの味が口いっぱいに広がって、頭がふわふわして。