海心の少女

臆病

次の日、彼はいつものところにいて、私が通ろうとしたとき声をかけてきた。

「君、どこの学校に行っているの？」

突然のことで、驚いてしまう。

「えっ…！あ、ここをまっすぐいった――高校ですけど」

慌てて答えると、彼は優しく微笑んで、名乗った。

「僕は、++高校の高橋 智也って言います。もしよかったら、友達になってください」

私は、もっと驚いて呼び止められる声にも振り返らず走り去ってしまった。

(せっかく、話しかけてくれたのに…でも、もう悲しい思いなんてしたくない。)

自分自身の気持ちに嘘をついて、押し込めた。

すると、突然彼がいつものところに来なくなった。

(昨日、私が逃げたから…?嫌だ、見てるだけでもいいから、彼の姿を見つけたい)