Endless Blood Summer
1回目
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その日は、とても暑かった。
夏らしく、蝉が五月蝿いほどに鳴いている。
具合が悪くなるのではないかと思うほど、太陽が地面を照らしていた。
ベッドの上で時計を見ると、午後12時を少し過ぎたくらいだった。
ダルさの残る体を起こして着替えると、俺は外に出た。
近所の公園に行くと、木陰にネコを足にのせた彼女が座っていた。
なにもすることのない俺達は、なんとなく駄弁っていた。
ふと、彼女が黙ったかと思うと言った。
「……夏は…嫌いだなぁ」
その言葉を言ったのと同時に、彼女の足に丸まっていたネコが飛び降りた。
「あ…、そっちはダメよ」
彼女がそのあとを追いかけて道路に出る。
その時、信号機は赤に変わっていた。
「あっ!」
俺は、危ないと叫ぼうとした。
しかし、言葉を発する前に彼女の姿が消えた。
トラックの影と重なって。
『ズシャァァァ!』
目の前が、鮮血で染まり辺りに血の匂いが充満する。
夏の太陽で照らされた地面を見ると、鮮血の赤と陽炎が見えた。
陽炎は、夢の出来事ではないというかのように、笑っているように見えた。