氷の魔女とイチョウとモミジと探偵と怪盗
「そーだ!」
一人でポンと手を打つと、スリサズは進行方向に背中を向けて、後ずさりしながら風の魔法を発動させた。
スリサズの目の前から吹き飛ばされたイチョウの葉っぱは、調べ終わった場所へと落ちる。
「よし! これなら一度飛ばした葉っぱが邪魔になんないわ!」
と、得意そうにロゼルに示すが、ロゼルは犬を撫でるので忙しくって、スリサズを見てくれていない。
スリサズはほっぺたを膨らませてメダルの捜索を続けた。
そして…
しばらくは順調だったのだが…
後ろ向きに歩いていたせいで、後ろが崖になっていることに気づかず、思いっ切り踏み外して大胆に落っこちてしまった。
「きゃあー!」
「きゅ~っ!」
さほど高くない崖から落ちると、そこは見知らぬ少女の背中の上だった。
「うわわっ! ご、ごめんなさい! 大丈夫!?」
スリサズが慌てて立ち上がる。
二人を見下ろすイチョウの林は、崖の上と変わらぬ様子で広がって、落ち葉も変わらず降り続けている。
「大丈夫! 名探偵は不死身なのよ!」
ぺしゃんこになったはずの少女は、元気良くピョンと跳ね起きた。
どうやら厚く積もったイチョウの葉がクッションになったらしい。
鹿狩り用の帽子をかぶり、季節にあってはいるが何かの仮装のようにも見えるコートを羽織ったその少女は、パイプがあれば決まるのだろうがそれがない代わりに瓶底眼鏡のつるを噛み、紳士用のステッキを構えてポーズを取った。
「ワタシは名探偵ホーミィ! 怪盗セルアを追っているの!」
一人でポンと手を打つと、スリサズは進行方向に背中を向けて、後ずさりしながら風の魔法を発動させた。
スリサズの目の前から吹き飛ばされたイチョウの葉っぱは、調べ終わった場所へと落ちる。
「よし! これなら一度飛ばした葉っぱが邪魔になんないわ!」
と、得意そうにロゼルに示すが、ロゼルは犬を撫でるので忙しくって、スリサズを見てくれていない。
スリサズはほっぺたを膨らませてメダルの捜索を続けた。
そして…
しばらくは順調だったのだが…
後ろ向きに歩いていたせいで、後ろが崖になっていることに気づかず、思いっ切り踏み外して大胆に落っこちてしまった。
「きゃあー!」
「きゅ~っ!」
さほど高くない崖から落ちると、そこは見知らぬ少女の背中の上だった。
「うわわっ! ご、ごめんなさい! 大丈夫!?」
スリサズが慌てて立ち上がる。
二人を見下ろすイチョウの林は、崖の上と変わらぬ様子で広がって、落ち葉も変わらず降り続けている。
「大丈夫! 名探偵は不死身なのよ!」
ぺしゃんこになったはずの少女は、元気良くピョンと跳ね起きた。
どうやら厚く積もったイチョウの葉がクッションになったらしい。
鹿狩り用の帽子をかぶり、季節にあってはいるが何かの仮装のようにも見えるコートを羽織ったその少女は、パイプがあれば決まるのだろうがそれがない代わりに瓶底眼鏡のつるを噛み、紳士用のステッキを構えてポーズを取った。
「ワタシは名探偵ホーミィ! 怪盗セルアを追っているの!」